アイデアが出せない苦悩
- アイデアを出すための道具がわかる
何か素晴らしいアイデアを生み出したい。既存の型枠に囚われず、斬新で魅力的なアイデアを。
そう思い立ちパソコンの前に鎮座してから、どれくらいの時間が経ったろうか……。
雷に撃たれたように、突如として素晴らしいアイデアが、天から降って来はしないかと、懇願にも似た気持ちで待ち続けている。
パソコン画面の向こうでは、記入を待ち続けるカーソルがチカチカと点滅していた。
ナニモオモイウカバナイ。
2時間待ち続けた結果は、空白だらけのテキストファイル、ただ一つだけ。
文字数にして500字にも満たない。「2時間分の集大成がこれだけか」と、我ながら情けなくて泣けてくる。
違うパターンもあった。
頭の中には、前々から心躍るようなアイデアが浮かんでいた。考えるだけでニンマリするような、素晴らしいアイデアだ。
ある日、思い立ってそのアイデアを形にしようと決意した。息巻いてパソコンの前に座り、何か打ち込もうとキーボードに触れた途端、手が止まってしまった。
それまで浮かんでいたアイデアが、まるで、初めからなかったかのように、霧散してしまったのだ。
「やはり、オレには素晴らしいアイデアを作り出すなんてムリなのだろうか」
そう弱気になり、最後には考えることをやめてしまった。
アイデアマンに必要なものは才能か?
パソコンの前にただ座っているだけで、ポンポンとアイデアが飛び出してくれれば、どれだけ素晴らしいとか。
どこかの天才アイデアマンのように、一度スイッチが入れば、アイデアが湯水のごとくあふれてくる。
そんな才能に、どれだけ憧れただろうか。
しかし、残念ながら僕の頭は、そうできてはいなかった。才能なんて、一欠けらもなかったのである。
アイデアは簡単に思いつかないし、思いつくまでに途方もない時間を必要とする。
そして、思いついたアイデアだって形にする手前で苦戦し、しまいには消えてしまう。そんな自分に、毎回のように落胆していた。
これじゃあ、そこら辺の家庭パソコンと変わらないじゃないか。
与えられたコマンドに従って動くことしかできない機械。
なまじっか最近のパソコンは性能が高いから、そっちに任せてしまった方が効率は高いだろう。
アイデアが生まれないのは、考え出すための道具が足りないのかもしれない。
それでも諦めきれなかったボクは、アイデアに関しての本を探した。
『アイデア大全』や『アウトプット大全』、『アイデアのつくり方』など、アイデアに関連していそうな本は手当たり次第に読み漁った。
そして、一冊の本に出合った。
とてもシンプルなタイトルに惹かれた。造語らしいその言葉は、しかし、すぐに意味が伝わった。
考えるための道具。だから考具。読み方はコウグ。そのまんまだ。
タイトルに惹かれたボクは嬉々として読み進めた。そして、一つの結論に至った。
もしかしたら、ボクがアイデアを出すために足りなかったのは、才能ではなく道具だったのかもしれない。
普段、アイデアを出すためにどれだけの道具を使用しているか
普段、ボクがアイデアを出す際に使っている道具を記述してみる。パソコン、資料用の本。それにペンとノート。これだけである。
なんだか少ない様にも感じるし、これで十分の様にも思える。
実際、『考具』の中にも頻繁にノートと鉛筆を使った考具は出てきたし、これでも必要条件は満たしていたと思う。
でも、それだけではダメだったのだ。
ボクはこれらの道具を使いこなせていなかったのだ。
ペンやノートはそばに置いておくだけ。たまにメモがてらに何か書いたりするくらいで、ほんの数行使うのみ。
あとは、じっとパソコンに向かって作業するだけだった。
これじゃあ、ウォーミングアップもせずにマウンドに向かうようなものである。そうではなくて、もっと、ペンやノートを使うべきだったのだ。
なぜ、そんなことを言うかというと、アイデアというものが限りなくあやふやなものだから。
アイデアは、空気や音や匂いのようなものだと、ボクは思っている。
それらは、触れられないし、見えないし、近づいたのか離れたのかもよくわからない、あやふやな存在なのだ。
それらをボクたちが観測しようとすれば、必ず道具を用いるだろう。
空気に含まれる酸素の量を測ったり、音量計を使ったり、いろいろするはずだ。
それと同じでアイデアも、アイデアを考える道具、考具を使っていくべきだ。
アイデアというあやふやなものを、現実の形ある存在へと変換する作業に、考具は必ず役にたってくれる。
もし、今あなたがアイデアを出すことや形にすることで悩んでいるなら、嘘だと思って考具の中に書かれていることを実践してみてほしい。
きっと、あなたの役に立つはずだ。そして、あなたの大切なアイデアの萌芽をスクスクと育てていってほしい。
もしかしたら、今もうすでにブレーンストーミングやKJ法などの考具を使っている人がいるかもしれない。
そんな人も、ぜひこの本を読むことを勧めたい。
考具にも種類があり、自分に合う合わないがある。
もし、ネットで紹介されていた考具だけを、ただ使っているだけなら、ここで紹介されている21個の考具を試してみてほしい。
そして、自分に一番しっくりする考具をぜひ武器にしてほしいと思う。
終わりに
アイデアを出す作業はとても苦しい、と同時に楽しい作業だと思う。
良いアイデアを思いつけば興奮するし、早く誰かに見せたいと思う。でも、もしアイデアが出てこないからといって、自分を責めないでほしい。
一部の天才を除いて、訓練すれば、アイデアは作り出すことができるものだと、ボクは信じている。
それこそ、システマチックに。自分を信じて、一歩ずつ、ベイビーステップでいいから前に進んでいってほしい。
まとめ
アイデアは机に座っているだけでは生まれない。
アイデアを出すために、考具(=考えるための道具)を使い倒せ!
コメント