はじめに
この記事は「小説を書きたいのに書けない!」と悩んでいる人に向けて書かれています。
- 「書きたいのに書けない」理由がわかる
- 多数派の罠がわかる
- 「書きたいのに書けない」から抜け出す方法がわかる
小説が書けない理由は様々なものがありますが、「書きたいのに書けない」という状態は、少し特殊だと言えます。
「ネタがない、書きたいことがない」から書けないなら分かりますが、「書きたい!のに書けない」のですから、その特殊さが分かるかと思います。
何故、そんなことが起きるのか。それは「読者」が具体的に想定されていないからだと、ボクは考えています。
そこで、この状態から脱出する方法として、ボクは「たった1人の誰かに向けて小説を書くこと」をオススメします。
どういうことか、これから説明していきます。
「書きたいのに書けない」の正体
「ネタがない、書きたいことがない、上手く書けない、つまらない」など、小説が書けなくなる理由は多々ありますが、「書きたいのに書けない」という状態は、少し特殊です。
何故なら「書きたいネタ、書きたいこと、書いていて楽しい」という状態であるのに書けないのですから。
この「書きたいのに書けない」理由の1つとして「読者」が具体的でないことが原因だと、ボクは考えています。
つまり「誰にその小説を読んでもらい、どう楽しんでもらいたのか」という視点が抜けているのです。
ただ曖昧と「こんな人が読むんだろうな」という想定で書き進めていくと「あれ? 何が書きたかったんだっけ?」という状態になってしまうのです。
これは、例えていうと友達とご飯に行く場面に似ています。
「今日、何食べたい?」というあなたの質問に友達が「何でもいい」と答えられると、どれにしようか悩みますよね? (ご飯? 麺? お好み焼き?)など、色々思い浮かべてしまい、迷ってしまう。
それよりも、「中華が良い」とか「洋食が食べたい」と具体的にいわれた方が、迷わない。もっと言えば「叙々苑が良い」と店名を言われた方が確実に選べますよね。
これは、そのまま小説にも当てはまります。
「どんな読者に向けて書いてるの?」という問いに対して、「〇〇な読者」とパッと答えられる人は、「書きたいこと」を迷わずに書けます。
一方で「どんな読者に書いてるの?」という問いに対して、「んーとね……」と考え込んでしまう人は、「書きたいこと」が上手く定まっておらず、「書きたいのに書けな」くなってしまうのです。
たった一人の「読者」とは?
先ほどまでに、「書きたいのに書けない」正体をお教えしました。その克服法として「たった一人の読者」の想定が重要になります。
そういうと、
「そんなことはない! オレは、ちゃんと中高生が楽しめるライトノベルを書こうと決めてるのに書けないぞ!」
という反論が来そうですが、その「読者」ですら漠然と過ぎています。これでもまだ、想定する読者の幅が曖昧なのです。
その小説が「中高生の中でクラスに1人はいるような、学校行事にも馴染めず、クラスの雰囲気にもついていけない、そんな口数の少ない男の子」に向けて書いている。
これだったら、ボクは何にも言いません。良い読者の想定だと思います。
たった一人の読者を想定することで、どんなことが起きるのか、見てみましょう。
- 学校行事に馴染めない子が楽しめることってどんなことかな?
- こんなことを小説に書いたら、きっと彼にウケそうだ。
- これを言ったら、彼も反応してくれるのでは?
そんなことを考えると思います。
この「自分が書きたいこと」のなkから「彼が好きそうなこと」をピックアップすることで、スラスラと書けるようになります。これが、「書きたいのに書けない」状態から抜け出す方法だと考えています。
「みんなに読んでほしい」 多数派の罠
「でも、一人に絞らないでみんなに読んでもらえるように書いた方がいいんじゃないの?」
そう思うかもしれません。しかし、これは「多数派の罠」に引っかかっています。
多数派の罠とは、新米ライターや編集者が陥ってしまう罠です(参考:『20歳の自分に受けさせたい文章講義』)。
何かというと「対象読者を絞りきれないで、「多数派」にむけて書こうと」した結果、誰に書いているかわからずに、執筆活動がスムーズでなくなる罠のことです。
これが多数派の罠になります。
誰か分からない不特定多数の人に向けて書こうとした小説は、読者が想定できずに、上手く書けません。
また、書いた文章は、当たり障りのない平坦な文章になるし、胸に突き刺さるような文章も書けません。
そうならないためにも、読者は「たった一人」に決めるべきです。
たった1人の誰かに向けて書く
このたった1人の誰かとは、恋人でも、クラスの友人でも、親友でも、誰でも構いません。リアルに想像できる、そんな人を想定しましょう。
そしてこう考えながら執筆していきます。
「この人だったら、どんなことで楽しんでくれるかな? どんなことに興味がわき、どんなものに関心するだろうか?」
そう考えていくと「読者が知りたいだろう物語」と「自分が書きたい物語」の中でマッチする部分があります。それを書いていけばいいのです。
「たった一人の誰かに向けて書く」ことのメリットは他にも
- 読者がはっきりしているので、語彙や文章に気を付けやすい。
- 興味関心が予想できるので、ストーリーを考えやすい。
- 推敲する際も、常に「あの人ならどうやったら楽しめるか?」と考えられて修正しやすい。
などがあります。
これも「たった1人の読者」を想定するだけで、容易にできることです。
「書きたいのに書けない」状態になった際は、ぜひ試してみて下さい。
みんなに読まれるのかどうかが心配?
「書きやすくなるのはわかったけど、みんなに読まれるのかどうかは別問題じゃない?」
という方向けに、先ほどの「クラスに1人はあなたの作品を評価する」ことを例にとって見てみましょう。
クラスの人数が40人だとすると、作品を評価してくれるのは1人なので、その比率は2.5%です。
また、全国の中高生は約6.8百万人いるらしいです。(参考:e-Stat)
そして、読書習慣のある人は全国で約4割だそうです。(参考:みんなのライフハック)
これらのことから、あなたの小説を評価してくれる人数を計算すると
6.8百万人×4割×2.5%=6万8千人
という数字が出てきました。
昨今では、出版不況と言われている中、約7万部を売り上げる小説は中々出ないので、大ヒット作といえるでしょう。(全ての人が買ってくれるとは言いませんが…)
どうでしょうか? これでもまだ「みんな」に読まれるかどうか心配ですか?
まとめ
「書きたいのに書けない」理由の1つは、読者の想定があいまいだから。
「たった1人の誰かに向けて書く」ようにしよう。
「読者が楽しめること」と「自分が書きたいこと」とがマッチする部分を書いていこう。
「小説が書けないよ……」
小説を書いていて、そんな悩みを抱えたことはありませんか?
小説が書けなくなる理由は様々です。それぞれに原因があって、対策があるとボクは考えています。
そこで、過去にこれまでにご紹介した「小説が書けない」時の【まとめ】記事を作ってみました。
コメント