はじめに
この記事は「小説における、キャラクターからストーリーを作る方法」について書かれています。
- キャラクターからストーリーを作る“強み”がわかる
- ストーリーの作り方がわかる
「ストーリーって、どうやって作るんだろう?」
小説を書き始めようと決意した時、そんな疑問を持ったことはないでしょうか?
漠然となら想像できていたストーリも、いざ、文章化しようとすると、途端に分からなくなってしまう。
そう言った方は、一度、「ストーリーの作り方」を学んでみるといいと思います。
ストーリーの作り方でよく言われているのが、
- キャラクターから作る
- 世界観(舞台設定)から作る
この2つだと思います。そしてボクも、ストーリーを作るには、この2つからではないかと考えています。(シーンやセリフからストーリーを作る場合もありますが、大別すればこの2つに属すると思います)
この2つから作られるストーリーには「大きな違い」がありますが、どちらが良いというものはありません。
単純に「どちらの方が作りやすいか」で、ストーリー作りを判断して良いと思います。
「オレは、好きなキャラから小説を作ってるんだよね」
そういう方なら、キャラクターからストーリーを作ればいいし、
「世界観を想像するのが好きなんだ」
という方は、世界観から、ストーリーを作ってみましょう。
今回の記事では「キャラクターからストーリーを作る方法」というのをご紹介します。(世界観からストーリーを作る記事はこちら→(記事:))
キャラクターからストーリーを作るメリットは、何と言っても「感情移入するストーリーが作りやすい」という点が挙げられます。
どういうことか、これから説明していきます。
キャラから作るか、世界観から作るか
冒頭にも書きましたが、ストーリーを作る方法は大別して1.キャラクター 2.世界観 の2つだと思います。
そして、その2つで作られたストーリーには違いがあると、ボクは考えています。
それぞれに「強み」があると考えていて、2つのストーリーの作り方のメリットを知っておくことは、創作活動において大事になると思いますので、ここで紹介します。
キャラクターと世界観の2つから作られたストーリーの強みは、こちらのようになると考えています。
強み | |
---|---|
キャラクター | 人間味を出せるので、読者に共感や感情移入させやすい |
世界観 | 急な場面転換など、読者に「え!?」と思わせるストーリーを作りやすい |
キャラクターからは、「人間味」を存分に生かした「共感」や「感情移入」などを促すストーリーを作ることが得意です。
一方で、世界観からは、読者をアッと言わせるような場面転換のような、起承転結でいえば、転の部分であるストーリーを作ることが得意です。
逆に言えば、キャラクターから作ったストーリーは、場面転換が起きづらく、「マンネリ」のように話が進んでしまったり、世界観からのストーリーでは、人間味の無いキャラクターが動き、「共感」しづらい、などの弱みもあります。
ストーリーを作る際は、この2つの強み弱みを意識して作るとよいかもしれません。
次章からは、キャラクターからストーリーを作るための方法をご紹介します。
キャラからストーリーを作る
この章からは、実際にキャラクターからストーリーを作る方法をご紹介します。
あくまでもボクのやり方なので、これが絶対だとは言えません。数ある中の一つの方法だと考えて下さい。
キャラクターからストーリーを作る方法は以下の順になるとボクは考えています。
- キャラクターをしっかりと作り込む
- キャラクターから「エピソード」を考える
- エピソード同士を組み合わせて、「シーン」を作る
- キャラクターが最も輝くように、シーンの順番を入れ替え、「ストーリー」にする
こんな形になると、ボクは考えます。次から具体的に説明します。
1.キャラクターをしっかりと作り込む
ボクがまず初めに言いたいのは、「キャラクターをしっかりと作り込む」ことができないと、キャラクターからストーリーは生まない、ということです。
それほどまでに、キャラ作りはストーリー作成において重要だと考えて下さい。
キャラを作り込んだ先の理想は、「キャラが勝手に動いてしまう」ような、そんなエピソードが思い浮かべば最高です。
「キャラが勝手に動く?」
そうなんです。経験していない方には不思議な感覚かもしれませんが、キャラを作り込んでいくと、意図していない方向へとキャラが「勝手に」動く瞬間があります。
プロットも書いて、構成もしっかり作っていざ小説を書き始めてみると、「おい、こっちの展開の方が良くないか?」とキャラがこちら側に教えてくれるのです。
そう言った「キャラが勝手に動き出した」ストーリーは、自分の伝えたいことを物語に乗せられており、面白いことが多いです。
この感覚のようなものを、『ちはやふる』の作者である末次由紀さんも、インタビューで答えているシーンがあるので、ぜひ参考にしてみて下さい。(「千早と新、ふたりの物語のつもりだった」末次由紀が明かす『ちはやふる』創作秘話)
話を戻すと、キャラ作りが、ストーリー作成において一番重要だということです。
「じゃあ、どうやってそんなキャラクターを作ればいいんだよ」
ここで、キャラ作りの話をすると、紙面が足りないので、他記事に譲ります。こちらの記事を参考にしてみて下さい。記事はこちら→(記事:キャラクターの作り方【まとめ】キャラ作り基本から応用まで)
2.キャラクターから「エピソード」を考える
2番目は、キャラクターから「エピソード」を考えることです。
先ほどまでに、「キャラ作り」がしっかり出来たとします。その次は、「そのキャラクターが魅力的に見えるエピソードはどんなものか?」という問いと共に、エピソードを考えてみましょう。
「エピソードって、ストーリーと違うの?」
ここでいうエピソードとは、ストーリーを意味のあるシーンごとに分解していって、最終的に分解不可能になったもののことを言います。
イメージとしては、先ほどの図のような形です。
一番大きなストーリーがあって、その中には意味のまとまりであるシーンがあって、そして小さなエピソードたちが沢山ある。
そんなエピソードを沢山集めるのです。
「このキャラはどんなことをするか? 設定では、何を重視しているのか? どうやったら面白くなりそうか?」
そんな疑問と共にキャラクターからエピソードを考えてみて下さい。
漠然とした目標ですが、小説を1冊(10万文字)書くとすると、合計で100エピソードほど思いつけば良いと思います。
「エピソードが全然思いつかないよ……」
という人は、一人ブレーンストーミングを行うとよいでしょう。そうやって、アイデアを生み出す道具(考具)もガンガン使っていきましょう。
一人ブレーンストーミングについての記事はこちら→(記事:)
3.エピソード同士を組み合わせて、小さな「シーン」を作る
先ほどまでに、キャラクターからエピソードを抽出しました。
これで準備段階は終了です。
「え? これが準備段階なの?」
前章までの労働力から鑑みれば、そう思ってしまうかもしれませんが、ストーリーを作るという面からすれば、さきほどまでは準備段階です。
前段階までに、一応の形として、小説のネタになりそうなエピソードを沢山集めました。それらをストーリーまでに昇華させるには、エピソードをまとめて、シーン作りを行うことが必要です。
考え出したエピソードには、関連する他のエピソードがあるはずです。それらを、まとめて一つの「シーン」にしてしまうのです。
「でも、シーンって何?」
難しく考える必要はありません。ストーリーの中で、場面転換がしない一まとまりのエピソードだと思って下さい。
例えば、恋愛小説で、主人公が女の子に恋をするシーンを考えたとします。
これを箇条書きすると
- 主人公が女の子に出会う
- 主人公と女の子の間で“何か”が起こる
- その“何か”がきっかけで、主人公が女の子に恋をする
主人公が女の子に出会ってから恋をするまで。そこまではストーリーでも場面転換せずに、一つのシーンとして続くはずです。
そんな一まとまりに集められるエピソード達のことを「シーン」とボクは呼んでいます。
これらのシーンを集めるのによい方法はKJ法だと思います。
エピソードをカードに記入して、それらを机の上に広げ、関連性を見つけていくのです。これが一番シンプルで、簡単で、有用な方法だと思います。KJ法についての記事はこちら→(記事:)
4.キャラクターが最も輝くように、シーンの順番を入れ替え、「ストーリー」にする
シーンまで考え出せたら、あともうひと踏ん張りです。
最後は、シーンを並び替え、最も魅力的な展開になるように順序だてを行いましょう。
これは、「構成」と呼ばれる作業です。
つまり、ここのシーンを最も魅力的に読者に見せるには、どの順番がベストなのかを考えます。ここで、初めて「読者の視点」が出てきます。
今までにはなかった読者の視点を持ってみて、どうやったら読者が、「楽しんでくれるか、飽きないでくれるか、ワクワクしてくれるか、自分の言いたいことが伝わるか」と言った疑問を持ちながら、シーンを並び替えていきましょう。
やってほしくないのが、ただ単純に「時系列」としてまとめてしまうこと。それは、一見正しいようで、「ストーリーにおいては間違い」でもあります。
それは、映画でいえば監視カメラからずっと物語を見ているような感覚に似ています。それ自体は正しいのですが、それだと読者に“飽き”や“面白さ”という面でマイナスになります。
それよりも、「アングルを変えたり」、時には「時系列を破ったり」するようなシーンの順番を考えた方が、読者が飽きずに物語についてきてくれます。
もっと詳しい「構成」の記事はこちら→(記事:)
いかがでしょうか? キャラクターからストーリーを作ることは、「共感」や「感情移入う」を促せるという面で、とても優れています。
漫画やアニメなどは、大抵「キャラクターが輝いています」。それらを、小説に取り込んでみても、きっと面白いものになると思いますよ。
まとめ
ストーリーには「キャラクター」から作るものと、「世界観(設定)」から作るものがある。
それぞれにおいて「強み、弱み」があるので、シーンによって使い分けていく。
キャラクターのストーリーの強みは、「共感」や「感情移入」しやすいストーリーを作り出せること。
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