この記事は「小説にテーマは必要なの?」について書いています。
- 小説にテーマが必要な理由がわかる
- 自分の小説にテーマを持つようになる
「小説にテーマって必要?」
小説を書き進めるにあたって、そんな疑問を持ったことはないでしょうか?
「小説なんて、読んでいて面白ければそれでいいじゃないか」
確かに、その通りだと思います。
そもそも、この「小説にテーマは必要か」という問にしたって、純文学を書いていれば「そんなもの当たり前」だと思うし、大衆小説なら「テーマよりも面白さだろう」と思っていても不思議ではありません。
ボク自身もそう思っていました。
でも、実際に1冊の小説を書き切ってみて思うことは、「小説にテーマは必要だな」ということです。
どんな時にそう思ったのか。
それは、「小説が書けなくなった時」です。
小説が書けなくなった時に「オレってどんな小説を書きたかったんだっけ?」と振り返れる力は偉大だなと思います。
そんな、小説のテーマのお話です。
「読者の視点」「作者の視点」
「小説にテーマは必要か?」
この問に答えるために、「読者の視点」と「作者の視点」の2つに分けてみましょう。
2つの視点を考えることで、テーマがなぜ要らないのかと思われていて、そしてボクがなぜテーマは必要だなと思うかがわかるかと思います。
読者の視点
まずは、読者の視点から考えてみます。
ところで、小説と言っても、その中身はたくさんあることは想像できると思います。その中でも、大きく分ければ「純文学」と「大衆小説」だと思います。
純文学ならば、「この小説は何を言いたいのだろうか」という問を、読者は自然と持って読み進めます。
つまり、自然と「小説のテーマ」というものを探しながら読み進めていくのです。
たとえ作者がそうは思っていなくても「こう思って書いたに違いない」と解釈されるのも、純文学の特徴だと思います。
一方で、大衆小説はどうでしょうか。
読んでいる読者が、「この小説のテーマはなんだろうか?」なんて考えながら読み進めるでしょうか? 例えば、推理小説でトリックよりも先にテーマに意識が行くか? と考えれば、多分そうじゃないだろうということは想像できると思います。
そんなことよりも、「この小説は俺のことを楽しませてくれるのか?」という面白さを求めながら読み進めることの方が多いと思います。
仮に、小説のテーマのようなものが見えてきたとしても、それは意図的ではなく、たまたま見つかったという程度だと思います。
そこには作者の込められたテーマとは関係なく、読者は「面白ければそれでいい」と思いながら読み進めると思います。
このように「読者の視点」で見てみると、二つに共通していることは「作者の考えているテーマとは関係なく読者が小説を読み進めること」がわかるかと思います。
ここが、「小説にテーマが必要か?」という問が出てくる原因ではないかとボクは考えています。
作者が考えるテーマなんてどうでもいい?
「俺達がどんなに複雑なテーマを考えていても、結局、読者はテーマなんて気にせずに自分に読みたいように読むじゃないか」
ここまで読み進めて来た方なら、そんな思いになるかも知れません。
つまり、「読者は読みたいように読むし、持たせたいように小説にテーマを持たせる」のです。作者が考えるテーマとは別に、「読者のテーマ」と言ったほうがいいでしょうか。
だから、「小説にテーマ(作者が考える)をもたせることなんか無意味だろ」という結論になってしまうのも無理はありません。
読者にとって「作者が考えるテーマ」というものは、限りなくどうでもいいことのように思えますし、実際、そうなのかも知れません。
「それじゃあ、執筆活動において「テーマ」はどうでもいい」
そんな結論になるかもしれませんが、しかし、ボクはそれでも「テーマは必要だ」と思っています。
なぜかといえば、冒頭に出てきた「小説が書けなくなった時に、テーマが重要になってくる」という部分に戻ります。
書けなくなった時にどうするか
「あれ? 俺って、何が書きたかったんだっけ?」
小説を書いていると、ふとそんな疑問にぶつかるときがあります。
読者に求められているものが「面白さ」という荒唐無稽なものだけに、一度、書けなくなると途端に筆が止まってしまいます。
「面白い小説を書けばいい」
そんなこと頭ではわかっているのに、どうしても次の一文が出てこないのです。これが、テーマがなく書き進めてしまった人が陥るデメリットではないかと、ボクは考えています。
順調に書けているうちはいいんだけれど、一度、書けなくなると途端にわからなくなる。書く指標が「読者が求めているもの」なだけに、これに答えるのは相当な技量が必要です。
こんな時に、自分が考えていた「テーマ」があったらどうでしょうか?
「このテーマで読者が面白く感じてくれるかどうかはわからないけど、これまでもこのテーマで書いてきたんだから、多分大丈夫だろう」
そんな思いから、また、自分のテーマに沿った小説を書き始めるのではないでしょうか?
自分が考えているテーマに従って、小説を書き進められる。そんなことを可能にしてくれる「テーマ」という存在はとても大きいと思います。
テーマの決め方
だからこそ、ボクは「小説にはテーマが必要だ」と考えています。
実際に、ボクも書けなくなったときはよく「ボクはこんな小説が書きたいんだ」と振り返っていました。
初心に帰る、といった方が近いでしょうか。
ここまで読んでくれて、「確かにテーマって必要だな」と感じて貰えれば大満足です。
「でも、テーマってどんなものがいいの?」
という方のために、少しだけアドバイスをすると、テーマは本当になんでもいいと思います。
「正義」とか「青春」とか、壮大なテーマでもいいし、もっと小さくても、下世話なテーマでもいいと思います。
そこに、「筆者が書きたい」という強い意思さえあれば、そのテーマは磨かれて、小説が完成する頃にはとても素晴らしいテーマになっていると思います。
それが、読者に「好かれるかどうか」はまた別問題ですが、それを作者が考え出すときりがないと思います。
だから、まずは自分が「どんなものが好きなのか」を中心に考えて、「じゃあ、こんなことを書きたい」という等身大のテーマを考えることが重要だとボクは思います。
「でも、なんだかよくわからないな」
という方には、「たった一人の誰かに向けて書く」という方法もオススメです。
自分の思いや考えはよくわからないものです。だからいっそ、そのテーマも誰か一人を楽しませるためのテーマにしてみる。
読者が漠然としていない分、「書けなくなる」ということもなくなるはずです。そんな「たった一人の誰かに向けて書く」方法はこちら→(記事;小説が「書きたいのに書けない!」時の原因と対策)
ぜひ、自分らしいテーマを持って、執筆活動をより良いものにしてみてください。
まとめ
小説のテーマが力を発揮するときは「小説が書けなくなった時」。そんな時に、振り返ってみて「俺って、こんな小説が書きたいんだな」と思い出させてくれる「テーマ」は偉大。
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