はじめに
この記事は「長編小説が書けないと悩んでいる人」に向けて書かれています。
- 長編小説が書けない理由がわかる
- 長編小説の書き方がわかる
「あれ、小説が書けない……」
長編小説を書き始めてしばらくすると、そんな状況に陥ったことはありませんか?
1万文字、2万文字くらいはスラスラと書けているんだけど、そこからさらに書き始めようとすると、途端に筆が止まってしまう。
新人賞に投稿する場合、その原稿の文字数は約10万文字です。その文字数に到達しないと、どんなにいい作品でも「不合格」として落とされてしまいます。
そうならないためにも規定の文字数は達成したいもの。しかし「ただ、引き伸ばすためだけに文字数を稼ぐ」と、せっかくいい小説だったのに、間延びしたような詰まらない小説になってしまうことも。
できれば面白さを継続したまま、10万字以上をスラスラと書けるようになりたいですよね。
何故、長編小説になると書けなくなるのか。その理由は多々あるかと思いますが、ボクは「書き始める前の準備が足りない」と考えています。
例えば「ワンシーン」だけ思い浮かんで、そこからすぐに書き始めてしまうとか。そんな小説の書き方をしていないでしょうか?
そうではなく、長編小説を「完結」させたいなら「書き始める前の準備をもっとしっかり行ったほうがいい」とボクは考えています。
「でも、どんな準備をすればいいの?」
ボクがオススメする準備とは、「エピソード集め」です。
「エピソード集め?」
どういうことか、これから説明していきます。
長編小説を定義してみると
いきなり評価が別れそうな場面ですが、長編小説というものを定義したいと思います。
ボクは、長編小説とは「複数のエピソードによって、自分の伝えたいテーマを綴った小説のこと」だと考えています。
伝えたいテーマは1つなんだけど、それを読者に伝えるために複数のエピソードを持って読者に伝えること。
これが単一のエピソードならば、それは「短編小説」だとボクは考えます。
つまりこのエピソードの数の違いが、長編小説を書いていく上で重要だとボクは考えています。そして、書き始める前に、如何に「エピソード」を貯められるか。
それが、長編小説を書く上で重要なんじゃないかと考えています。
エピソードが足りていない
「エピソードって、具体的に何なの?」
難しく考える必要はありません。ここで言うエピソードとは、小説の章をを構成する一つ一つのシーンだと思ってください。
例えば、「千と千尋の神隠し」の冒頭では、
- エピソード1:車に乗って新居に引っ越している
- エピソード2:「お別れの花束なんて寂しいわ」と言う
- エピソード3:お父さんが道に迷う
- エピソード4:変な建物の中に入っていく
と言ったような1つ1つが分割不可能な小さな物語になっているものをエピソードと呼んでいます。
先程の例を見たらわかる通り、こうするとたくさんのエピソードの集まりが物語を構成していることがわかると思います。こちらはアニメ映画ですが、小説でも同じだと思います。
つまり、小説を完成させるためには、たくさんの「エピソード」が必要になってくるのです。このエピソード集めをサボってしまうと、後々「書けない……」といった形になってしまうのです。
エピソードを集めよう
なのでボクが言うアドバイスとは、先程のような分割不可能なエピソードをたくさん集めよう、ということです。
ボクが初めて長編小説を書き上げた時は(作品:ウソつきは××××のはじまり)執筆を始める前に、だいたい100エピソードを目安に出していました。
そこから、構成→執筆→推敲という形で、その作業の中で更に50ほどのエピソードが新たに加わったと記憶しています。
もちろん、すべてのエピソードを小説に登場させてはいません。ボツになったエピソードもたくさんあります。
このエピソードをを生み出すこと(エピ出しとボクは呼んでいますが)のイメージとしては「広げて、狭める」といった形でしょうか。これは、「考具 ―考えるための道具、持っていますか?」という本でアイデアを出す時に意識することとして語られていた言葉です。
このイメージは、小説を考える上でも大変参考になると思います。
どうでしょうか。ご自身の作品を振り返ってみて、「100エピソード」を生み出してから、執筆活動に入っているでしょうか? おそらく、このページにたどり着いたということは、そうではないのでしょう。
でしたら、一つの解決策として、こちらの100エピソードを出してみる、といった方法を試してみてはいかがでしょうか? エピソードを考える作業は、小説を完成させる作業の中で、なかなかに楽しい作業なので、苦痛に感じるシーンは少ないと思います。
「でも、どうやってエピソードを生み出せばいいの?」
エピソードを考えると言っても、難しいことをする必要はありません。自分がいつもやっているような形でエピソードを考えていけばいいのです。
しかし、それが難しい場合、あるいは既に出し尽くしてもう考えられない場合には、よく言われている次のことを試してみるといいでしょう。
- キャラクターからエピソードを考える
- 世界観(設定)からエピソードを考える
こちらの2つはよくアドバイスされるようなことですよね。しかし、これが意外に重要だとボクは思っています。
知ってはいても、意外と実践できていない人は多いのではないでしょうか。
まずは、自身が考えている「キャラクター」と「世界観」を今一度洗い出してみましょう。
ボクがおすすめしているのはKJ法です。キャラクターや世界観を1つ1つカードに書いていき、それらの関係性を探る過程で「エピソード」を生み出していくのです。
これが、行き詰まった時や新しいエピソードを考えたい時に有効だと考えています。 詳しいやり方はこちら→(記事:)
エピソード以外で書けない理由
ここまで読んでくれた方なら、「でも、長編小説が書けない理由って、エピソードの少なさだけじゃないだろ?」そう憤慨するかも知れません。
全くもっとその通りです。例えエピソードを十分に出し切っていても、長編小説を書けない理由はたくさんあります。
いかに、ボクが思いついた長編小説が書けない理由を列挙していきます。
テーマが長編に向いていない
そもそも、テーマが長編向きではないことがあります。例えるなら、映画よりも写真や絵画の方が表現が向いている、といったほうがいいでしょうか。
そういうテーマを選んでしまっている可能性があります。
そういう時は、文字数を気にせずに書き終えたほうがいいと思います。間違っても、文字数にこだわって間延びしたような作品を完成させない方が、作品のためにもいいです
長文を書くのに慣れていない
実は単純な理由として書くことに慣れていないだけかも知れません。
新人賞であれば、1冊約10万文字を書ききらなくていけません。1日に1,000文字を書くにしても、単純計算で100日かかります。
これは約三ヶ月ですが、これだけの日数を集中して書くとなると、それなりの「長文を書くための筋肉が必要になります」長文を書くための習慣の身につけ方ははこちら→(記事:)
面白いかどうか不安になって書きやめてしまう
これは一人孤独に作業することになる小説家の宿命でしょうか。
書いている最中に「誰にも見てもらえない」状況が続いてしまうと、最初は自信のあった作品もどんどん「チンケな物」に見えてきたりします。
そういう時は、実際に会える友人に見てもらうことをオススメします。ネットの世界には「小説投稿サイト」がありますが、そこには「投稿すれば見てもらえる」という簡単な話ではありません。
「面白ければ読んでもらえるだろう」「おれの作品なら絶対に読者がつく」そう自信のある方が小説を投稿してまったく読まれない日々が続くと、すぐに心が折れてしまいます。
そうならないためにも、率直な意見を言ってもらえる友人に見てもらった方がいいと、経験談からボクはオススメします。
作中の矛盾を直す術がない
話を展開していくうちに、どうしても矛盾を解消できなくなってしまいどうにもならなくなってしまうときがあります。
大きなくくりでは「推敲」の作業だとボクは考えているのですが、ここでは、「アイデアの出し方」のテクニックを利用するといいと思っています。
パソコンの前でウンウン唸っていても、いいアイデアは出てこないものです。だったら、先人のアイデアマンの方たちが考え出してた「考具」というものを利用してみるのもありだとボクは考えています。
矛盾を解消するための「考具」を探している方はこちら→(記事:)
自分の作品が、他作家さんに似ていると気がついた
小説を書いていると、「あれ? これって○○の小説に似ているな」と他作家さんの小説との類似点が気になるときがあります。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」とは言いますから、どうしても影響を受けた作家さんの小説とは似てきてしまいます。
丸パクリはもちろんダメですが、少々似ているくらいなら書ききってしまった方がいいと思います。それが商用利用できるかどうかは、編集者さんに任せましょう。
まとめ
長編小説が書けなくなる最大の原因は「エピソード」が足りていないから。執筆活動を始める前に、十分のエピソードを考えてから執筆活動を始めると良い。
「小説が書けないよ……」
小説を書いていて、そんな悩みを抱えたことはありませんか?
小説が書けなくなる理由は様々です。それぞれに原因があって、対策があるとボクは考えています。
そこで、過去にこれまでにご紹介した「小説が書けない」時の【まとめ】記事を作ってみました。
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