はじめに
この記事は「小説の書き方のルール」について書かれています。
- 小説のルール5つがわかる
- 「書き方のルール」に縛られない小説を書くようになる
小説を初めて書く際に気になるのが、「小説の書き方にルールはあるの?」ということです。
日本語を書いている身からすれば、「日本語さえかければいいじゃん」と思われがちですが、実は、小説を書くためにはルールが存在します。
それを守らないと、「小説」として体裁が取れなくなってしまいます。
そこで今回は、「小説の書き方のルール」を前半にお話しして、後半からは「どう書くかよりも、何を書くか」の方が重要だよ、という話をしたいと思います。
小説の書き方のルール 5つ
小説を書くルールと言っても、小学校で習うような簡単なものばかりです。大事なものを5つほどピックアップしてみました。
あまり、堅苦しくならずに読んでみて下さい。
- 行頭は1マス空ける(ただし、会話文は除く)
- 文の切れ目には「、」文末には「。」をつける(ただし会話の文末に「。」はつけない)
- 会話文は「」でくくる
- 「!」「?」の後は、1マス空ける(ただし、文末は除く)
- 「…」と「―」は2個ずつ使う
1.行頭は1マス空ける
(ただし、会話文は除く)
「まずい。まずい、まずい、まずい」 ⊔僕は焦っていた。まさか、僕のちっぽけな勇気が、こんなところで仇になるなんて。そんなこと誰が想像できただろうか。 ⊔ほんの数時間前までは僕のこの勇気を讃えていたというのに。まあ、結局は失敗してしまったのだけど。 |
2.文の切れ目には「、」 文末には「。」をつける
(ただし会話文の文末には「。」はつけない)
校舎裏からこそこそと出てきた僕は、周囲を伺いながら歩き出した。 どうしてこんなことになってしまったのか、正直僕にも分からない。なぜあそこに彼女がいたんだろうか。 僕の頭の中では先程から『エマージェンシー、エマージェンシー、エマージェンシー』という警告音が流れていた。 |
3.会話文は「」でくくる
その笑顔がまた、僕の純情を踏みにじる。 仕方がなく、誠に遺憾ながら僕は口を開いた。 「いつから見ていた?」 「なんのことでしょう?」 「トボケルンジャナイ」 「ははは。お顔が怖いですよ、先輩?」 |
4.「!」「?」の後は、1マス空ける
(ただし、文末は除く)
「まだ目が赤いですよ?⊔先輩」 「これはあれだ。花粉症だよ」 「新種の花粉が発見されたんですか?⊔この時期に花粉症になるなんて、先輩はやっぱりすごいですね」 「うるさい。ちょっと静かにしてくれ!」 「いやだな。先輩がちょっと面白そうなネタを持ってそうだったんで、よいしょしてあげようと思ったんじゃないですか」 |
5.「…」と「―」は2個ずつ使う
彼女は信じられない、という顔をした。両手で口を覆っている。 「どうして私の家の位置を知っているんですか? 私、先輩に話してませんよ……。もしかして、私をストーキングしているんじゃ……」 「勘違いするな! いつも君が帰っていく方角から大体のことを予想しただけだ。僕は君のストーカーなんかじゃない」 「そういえば、よく先輩は私の好きな食べ物とか、大好きな映画とか聞いてきますけど、今考えてみればストーカーだからそんなことを聞いてたんじゃ……」 「普段の何気ないコミュニケーションだ! 友達なら普通に話す話題だろ。断じて君の思っていることではない!」 |
書き方のルールに縛られ過ぎないで
ここまで読んでみて、「なんか、小説を書くのは面倒だな」と思いましたか? でも、これって裏を返せば、「5つのルールさえ知っていれば小説は書ける」ということです。
これがスポーツだったら、5つのルールでは済まないでしょう? 他にも、会社のルールとか、学校のルールとか、社会のルールとかもたくさんあると思いますが、小説なら「5つ」だけです。
これさえ守っていれば、「意見」はされるだろうけど、「間違い」ではない、ということです。
表現方法の一環として、「ら抜き言葉」を使ってみるとか、「二重表現」を使ってみるとか、そういったことも小説のルールから言えば「あり」になります。
そう考えると、小説というものは「とっても自由」だと思えませんか?
もっと言えば、これらに挙げたルールというものは「ワードのマクロで自動的に直せる」ようなものばかりです。(校正の自動化についての記事はこちら→(記事:小説の校正はツールを使用して自動化しよう!時短に繋がる校正術))
マクロが分からない方は、「プログラム言語」の1つだと思ってください。
そこには、あなたの意思には関係なく、「〇〇=△△」といった等式に則って、機械が勝ってに書き換えてくれるのです。
ここに、あなたが必用以上に縛られる必要はありません。
そんなことよりも、もっと重要なことがあると、ボクは思っています。
それは「どう書くか、よりも何を書くか」に力を入れよう、ということです。
どう書くか、よりも何を書くか
「どう書くか、よりも何を書くか」
これは作家の筒井康隆先生が講談社BOOK倶楽部のコラムで話していた内容をまとめたものです。(参考:筒井康隆、作家としての遺言「小説書く人に、これだけは伝えておく」)
ボクなんかが言うのもおこがましいですが、これにボクは百パーセント賛成です。「どう書くか」も大事だけれども、それ以上に「何を書くか」が重要なんじゃないかと、ボクは思います。
先ほども言った通り、「どう書くか」のルールのようなものは、突き詰めればプログラムで勝手にやっていける作業です。そこに、あなたの「意思」は関係ない。
一方で、「何を書くか」については、これはもう「あなたらしさ」に他なりません。どんな題材で、どんな内容の、どんなキャラクターを出して、どんな結末を迎えるのか。
そういったあなたらしさが出るのが、「何を書くか」という部分だと思うのです。
だから、「小説の書き方 ルール」と調べたら、最低限の5つだけは覚えておき、後は、「何を書くのか」に焦点を置いた方が良いと、ボクは考えています。
もちろん、「書き方」をないがしろにしろ、と言っているのではありません。誰かにアドバイスをもらったら、その内容を咀嚼してみて、「良いな」と思ったらそれを自分の小説に取り入れてみることも大事です。
そうやって、「自分らしい書き方」を身に付けられれば、それは「機械でも翻訳できない」あなただけの「小説の書き方」になります。
そこまで行くには、何十年と執筆活動を続けていく必要があると思いますが、ぜひ、目指していってみてほしいと思います。
まとめ
小説の書き方のルールは5つ。これだけは最低限押さえておき、後は、「何を書くか」に焦点を置こう。
あなたらしさが出てくるのは、「何を書くか」に焦点を置いたときである。
最終的には「書き方」にもあなたらしい「小説の書き方」を目指そう。
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