はじめに
この記事は「小説における台詞回し」について書かれています。
- 小説の台詞回しとは何かがわかる
- 台詞回しを勉強する方法がわかる
「小説に台詞回しってあるの?」
台詞回しとは、「せりふの言いまわし(広辞苑第六版)」と説明されていますが、要するに、セリフの「言い方や間の取り方や抑揚」などの総称だと思って良いと思います。
そんな台詞回しですが、ボクたちがそれを強く感じるのは俳優さんが「実際に声に出してセリフを話す場面」でしょうか。
俳優さんが、実際に「音」として発する言い回しに「あの人は台詞回しが上手いね」などと表現します。
では、小説に限ってみると、小説に台詞回しは存在するのでしょうか?
当然ながら、小説には音が存在しません。文字の記述だけで相手に伝えることになります。先ほど言った、「言い方や間の取り方」などの物は直接的に表現できないのです。
(一方で、「セリフ」は存在します。カッコ「」で括った中に、登場人物が話した言葉を記述していけばいいのです。セリフについての記事はこちら→(記事:小説のセリフを「魅力的」にするためのアプローチとは?))
「じゃあ、台詞回しは存在しないの?」
そう思うかもしれませんが、ボクは、小説には台詞回しが存在すると思っています。
そして、その台詞回しこそが「セリフ」を惹きたて、ひいては小説を魅力的にする重要なものだとも考えています。
小説の台詞回しで大切なこと。それは、「セリフ周りの地の文を魅力的にすること」だと考えています。
「え? セリフ以外の文が重要なの?」
そうです。ボクが考えている台詞回しとは、「セリフ周りの地の文」だとなのです。ならば、当然セリフ以外の文も重要になってきます。
どういうことか、これから説明していきます。
小説における台詞回しとは?
小説には台詞回しのような「言い回し」は存在せず、「セリフのみ」の表現だと思われるかもしれません。
実際、アニメや映画などに存在する「話し方の抑揚や間の取り方」などが、小説にはありません。だから、そういう結論になっても仕方ないです。
しかしボクは、小説にも台詞回しがあると思っています。
そこで重要になるのが、地の文です。
地の文とは、「会話文以外の説明や描写の文(引用:広辞苑第六版)」と説明されていますが、要するに「セリフ」以外のすべての文章だということです。(万能ですね)
ところで、ボクたちが小説を読んでいる時に、「この小説はテンポが良いな」なんていう感想を抱いたことはありませんか?
簡単な文や難しくない単語を使っている、ということや読者がその話題に精通している、など理由は多々ありますが、このテンポの良さを決める物こそ「地の文」だと考えています。
小説の大部分を「地の文」が埋めている作品があるくらい、小説にとって地の文は重要です。そんな地の文についての記事はこちら→(記事:)
この地の文のテンポの良さは、そのまま「小説の台詞回し」にも関わってきます。つまり、セリフとセリフ、「」と「」を繋ぐ間に挟まれる地の文こそが、小説の「台詞回し」だと、ボクは思うのです。
小説では表現しづらいセリフの「声の抑揚や、間、言い回し」を出来るだけ現実に促したものに出来るツールが、「セリフ周りの地の文=台詞回し」なのです。
台詞回しで小説のテンポが決まる
大げさな表現かもしれませんが、ボクは小説のテンポは、「台詞回し」で決まると思っています。
つまり、「セリフ周りの地の文」のことですね。このセリフ周りの地の文を意識すると、小説にテンポが出てきて、「読み心地の良い」文章になると考えています。
これは、ボクが「キャラクター小説を書いているから」、こういう結論になるのだと思います。
キャラクターには「セリフ」が大事です。特に、キャラクターの要素を「文字」でしか表せない小説においては、ことさら重要になります。
そんなセリフを魅力的にするためには、「台詞回し」が重要になってくるのです。いかにして、キャラクターを惹きたてられる「台詞回し」が出来るかどうか。
それができるかできないかで、キャラクター小説の良し悪しが決まり、ひいては、小説のテンポにもつながると、ボクは考えています。(ここでボクがテンポを強調しているように、キャラクター小説においてはテンポがすっごく大事だと思っています)
台詞回しを訓練して、小説をより良くしよう
「そうか、台詞回しってとても重要なんだな」
ここまで読んでもらって、そう思ってくれたら嬉しいです。では、ここからは一歩進んで、「どうやったら良い台詞回し」を使えるようになるか。その勉強法についてのお話です。
ここで「良い台詞回し」と言いましたが、厳密にいえば「良い悪い」はないです。正確に言えば「好き嫌いな台詞回し」がある、といった方が現実的です。
つまり、小説のルールのような「絶対的な台詞回し」があるわけでなく、あくまでも「作者が好きな台詞回しがある」だけです。
この好き嫌いに作者のセンスが問われているとも言えるし、あなたらしい小説につながる要素の1つとも言えます。
要は、自分の好きな台詞回しを駆使して、他者の作品と差別化しよう、ということですね。
では、その台詞回しはどうやって訓練したらいいか?
ボクは「守破離」で勉強した方がいいと考えています。
「守破離」についての詳しい説明はこちらに譲るとして(記事:守破離について)、要は「マネて、発展させて、自分らしさ」を求めようということですね。
- 守:自分の好きな小説から、台詞回しをマネてみる
- 破:マネた台詞回しを自分なりに工夫してみる
- 離:自分らしい台詞回しが使えるようになる。
段階としては、こんな形になります。1番目と2番目が、トライ&エラーで台詞回しを訓練してく段階で、3番目が実際に自分らしい台詞回しを使えるようになる段階です。
マネることに関しては、やはり「自分の好きな小説(愛読書)を読み込むこと」が一番です。
「えー、やっぱり読書かよ……」そう思うかもしれませんが、ただやみくもに沢山の本を読むのではないのです。1冊で良いのです。自分が読み込める大好きな作品を熟読するのです。
多読はそれでメリットがありますが、台詞回しの訓練においては、1冊を熟読した方が成果が出ます。
実際に、好きな作者が使っている台詞回しを、「文字に書いて、自分の小説に組み込んでみて、自分なりに工夫して」みましょう。読書についての記事はこちら→(記事:小説が上手く書けない そんな時にオススメしたい練習法)
きっと、あなたらしい台詞回しの使い方が見つかるはずですよ。
まとめ
小説の「抑揚や間、言い回し」などの文字に見えない部分は「地の文=台詞回し」で表現する。
台詞回しの訓練の方法は「愛読書を1冊読み込むこと」
守破離で、訓練していこう。
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